どこまでやれるか判らないけどSS更新用として。
無断転載不可。
* * *
どうしてその日に限ってその気配に気がついたのか。今思い返してもよく判らない。
けれどそれがたぶんあいつのギリギリだったのだと、それだけは確信できるのだからコレはコレでひとつの運命って奴なのかもしれない。
どうしてその日に限ってその気配に気がついたのか。今思い返してもよく判らない。
けれどそれがたぶんあいつのギリギリだったのだと、それだけは確信できるのだからコレはコレでひとつの運命って奴なのかもしれない。
いつもならば深い眠りについているその時間。
ふと目が覚めたオレはすぐに隣のベッドに休んでるはずのアルの様子がおかしいことに気がついた。
うなされてるわけではない、むしろその逆で妙に静か過ぎるのだ。
ふと目が覚めたオレはすぐに隣のベッドに休んでるはずのアルの様子がおかしいことに気がついた。
うなされてるわけではない、むしろその逆で妙に静か過ぎるのだ。
「アル?」
声をかけてみてすぐに眠っていないことは知れた。
いくら暗いったって闇に目が慣れた状態で様子を伺うくらいのことは簡単にできる。
真の闇を経験してるオレたちにはなおさらだ。
びくりと跳ねた肩に気がついたオレはすぐに飛び起きるとアルの傍へと駆け寄った。
「お前・・・・」
大きくなってからはすっかり目にする機会のなくなったアルの涙。
慌てて拭ったのだろうそれにオレが気がついたこと、気配に敏いアルはすぐに気がついたようだった。
バツの悪そうな表情をした、今ではオレよりもでかくなったけれど、やっぱりオレにとってはいつまでたってもかわいい弟であるわけで。
小さな頃の様に抱きしめて眠ってやればアルも落ち着いて眠れるんじゃないか、と。
そう、思ったんだ。
そう、思ったんだ。
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「あー疲れたっっ!」
ホテルの部屋に戻ってきた途端、そう叫んできっちり着込んでたスーツのネクタイを解きにかかった存在に苦笑する。
彼は本当に堅い場が苦手なのだ。
正直僕と出会うまでよくも一人であの華やかな世界を渡って来たものだといつも思うのだが。
「もぅ・・・せっかくの僕の傑作、そんな簡単に壊しちゃわないでよ」
スタンダードな結び方もいいのだけれど、彼には変わり結びのほうが映える。
毎度僕が工夫した結び方をするのをあきれ半分で見ている本人は、スタンダードな結び方も覚束ないものだからいつも僕にされるがままだ。
ついでに結ぶのもダメなら解くのも実はダメだったりする。大抵こんがらがって途中で泣き言言い出すのにいつも僕が解くまで我慢できないんだよね。
今ももたもたチャレンジしてるけど・・・音を上げるのは時間の問題だろう。
「ほら、そんなに引っ張ったら解けるものも解けなくなっちゃうよ。貸して兄さん」
実のところ本当はボクの方がはるかに年を重ねているんだけど、肉体の年齢設定が彼のほうが一歳だけだけど上というので便宜上『兄さん』と呼んでいる。
実際どっちが上に見られるかって言ったら僕のほうが上に見られるのが普通だ。けど彼はボクが『兄さん』と呼ぶことでどうやら満足してるらしいのでそれはそれでいいかと内心苦笑しつつも彼の望むようにしてるのが現状だ。
一夜の相手を探すのに夜毎開かれる舞踏会は後腐れなくて最適。
アルコールに弱い人ならちょっと火遊びした後に気分が悪く位のことはままあることで。
紙一重の色事の末、ほんの少し酔いが回ったと感じるくらいの生気をいただくことが僕らの夜毎の食事になる。
アルコールに弱い人ならちょっと火遊びした後に気分が悪く位のことはままあることで。
紙一重の色事の末、ほんの少し酔いが回ったと感じるくらいの生気をいただくことが僕らの夜毎の食事になる。
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