どこまでやれるか判らないけどSS更新用として。
無断転載不可。
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気がついたときには以前垣間見た風景。そして見知った顔。
再び失っていた手足のために動けなくなっていた自分に間に合わせの手足をくれた不肖の父親にそれでも少しは感謝した。
母絡みの恨み言はきっと一生消えることは無いのだろう。けれどそれでも自分の存在を庇護する存在だとの認識を持ったらしい父親は出来る限りのことはしてくれようとしているらしい。
その手を振り解いて立つには余りにもこちらでの生活は難しく、また手足の欠損は通常の生活さえも脅かせていた。
慣れない手足はひどく自分を傷つけた。身体を支えるにも思うように動かせず、またそれらを支えるバンドはきつく身体に食い込んで幾度も皮膚を裂いた。
手当てをする際に弟以外の男の手が触れてくることに幾度も怖気が走ったけれどそれもまた我慢しているうちに何とか耐えられるようになった。
自分だけでゆっくりとでも行動が出来るようになり、今度は元の世界へと帰る手段を探すようになってししばらく。父親の外出が増えるにつれ妙な集団からの連絡が増え始めた。
以前意識だけが門を潜ったあのときに見た顔も中には含まれていて。
不安が無かったわけではない。
ただ自分に係わることがあるのならば、今の父親なら告げてくるだろうとそう割り切って研究に没頭することにした。 PR