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どうしてその日に限ってその気配に気がついたのか。今思い返してもよく判らない。
けれどそれがたぶんあいつのギリギリだったのだと、それだけは確信できるのだからコレはコレでひとつの運命って奴なのかもしれない。


いつもならば深い眠りについているその時間。
ふと目が覚めたオレはすぐに隣のベッドに休んでるはずのアルの様子がおかしいことに気がついた。
うなされてるわけではない、むしろその逆で妙に静か過ぎるのだ。

「アル?」

声をかけてみてすぐに眠っていないことは知れた。
いくら暗いったって闇に目が慣れた状態で様子を伺うくらいのことは簡単にできる。
真の闇を経験してるオレたちにはなおさらだ。
びくりと跳ねた肩に気がついたオレはすぐに飛び起きるとアルの傍へと駆け寄った。

「お前・・・・」

大きくなってからはすっかり目にする機会のなくなったアルの涙。
慌てて拭ったのだろうそれにオレが気がついたこと、気配に敏いアルはすぐに気がついたようだった。
バツの悪そうな表情をした、今ではオレよりもでかくなったけれど、やっぱりオレにとってはいつまでたってもかわいい弟であるわけで。
 小さな頃の様に抱きしめて眠ってやればアルも落ち着いて眠れるんじゃないか、と。

そう、思ったんだ。
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